贈与の準備と手順について知っておくべきこと
- 小林達樹

- 4月16日
- 読了時間: 6分
贈与は家族や親しい人に財産を渡す大切な行為です。しかし、贈与には法律や税金のルールが関わり、準備や手順をしっかり理解しておかないと、思わぬトラブルや負担が生じることがあります。この記事では、贈与をスムーズに進めるために必要な準備と具体的な手順をわかりやすく解説します。贈与を考えている方はぜひ参考にしてください。
贈与とは何か
贈与とは、自分の財産を無償で他人に渡すことを指します。たとえば、親が子どもに現金や不動産を渡す場合が典型的です。贈与は契約の一種で、贈与者(渡す人)と受贈者(受け取る人)の合意が必要です。
贈与には以下の特徴があります。
無償であること
お金や物をもらう側が代金を支払わないことが条件です。
意思表示が必要
贈与者が「これをあげる」と明確に意思表示し、受贈者が受諾することで効力を生じます。
契約の成立
贈与は契約なので、双方の合意が成立した時点で効力が生じます。
贈与の準備で押さえるべきポイント
贈与を始める前に、以下のポイントを確認しておきましょう。
1. 贈与する財産の種類と価値を把握する
贈与する財産は現金、不動産、株式、動産など多岐にわたります。財産の種類によって手続きや税金の扱いが異なるため、まずは対象の財産を明確にしましょう。
現金の場合
金額をはっきりさせ、贈与の記録を残すことが重要です。現金の手渡しではなく、振込によってきちんと記録を残しましょう。
不動産の場合
登記簿謄本で所有権を確認し、名義変更の手続きが必要です。
株式や有価証券の場合
証券会社や金融機関での手続きが必要になります。
財産の価値は専門家に査定してもらうと正確です。特に不動産の評価は専門的な知識が必要となる場合がございます。
2. 贈与税の基礎控除と税率を理解する
贈与には贈与税がかかりますが、年間(1月1日から12月31日まで)110万円までは基礎控除として非課税です。つまり、110万円以下の贈与なら税金はかかりません。
110万円を超える贈与には税率が段階的に上がる累進課税が適用されます。税率は10%から55%まで幅があります。
ご注意いただきたい点は、年間110万円とはその年の1月1日から12月31日までに受贈者が複数の贈与者から受け取った金額の合計額です。例えば、父から60万円、母から60万円を受け取れば年間120万円となり、贈与税の申告が必要となります。
3. 贈与契約書の作成
贈与契約書は贈与の証拠となる重要な書類です。口頭でも贈与は成立しますが、後でトラブルになることを防ぐために書面で残すことをおすすめします。契約書のひな形はインターネットで入手が可能です。
契約書には主に以下の内容を記載します。
贈与者と受贈者の氏名・住所
贈与する財産の詳細(種類、数量、価値)
贈与の日時
贈与の条件(特にない場合は「無条件」と記載)
両者の署名または押印
なお、受贈者が未成年者の場合には、以下の内容に注意が必要です。
意思能力が無い赤ちゃんや幼児のときは、親権者が代理する
意思能力がある未成年者のときは、親権者の同意が必要
贈与の具体的な手順
贈与の準備が整ったら、次は実際の手順を進めます。ここでは一般的な流れを紹介します。
1. 贈与の意思確認と話し合い
まずは贈与者と受贈者が贈与の内容や条件について話し合います。特に家族間の場合、誤解や不満が生じないように、贈与の目的や理由を共有することが大切です。
2. 贈与契約書の作成と署名
話し合いで決まった内容をもとに贈与契約書を作成し、双方が署名または押印します。契約書はコピーを双方が保管しましょう。契約書のひな形はインターネットで入手が可能です。
3. 贈与財産の引き渡し
契約書作成後、実際に財産を受贈者に渡します。現金は手渡しではなく振り込みをして記録を残すことをお勧めします。不動産なら名義変更の登記手続きが必要です。
不動産の名義変更
法務局で所有権移転登記を行います。登録免許税や司法書士への報酬がかかる場合があります。
株式の名義変更
証券会社に必要書類を提出し、名義書換を行います。
4. 贈与税の申告と納付
贈与税がかかる場合は、翌年の2月1日から3月15日までに所轄の税務署(受贈者の住所地の税務署)に申告し、税金を納めます。申告しないとペナルティが発生することもあるため注意が必要です。
国税庁e-Taxを利用すると計算ミスも大幅に減少し大変便利です。
贈与の注意点とよくある質問
贈与を行う際に気をつけたいポイントや疑問をまとめました。
贈与税を節税する方法はある?
贈与税の基礎控除110万円を活用し、毎年少しずつ贈与する「暦年贈与」が一般的です。110万円を超えなければ申告は不要です。
しかし、贈与者がお亡くなりになった場合には、贈与をした時期によっては相続税を計算する上で贈与した金額を加算しなければなりません。この加算する金額には基礎控除110万円以下の金額も含まれます。
贈与契約書は必ず必要?
法律上は口頭でも贈与は成立しますが、後でトラブルを避けるために契約書を作成することが望ましいです。特に高額な財産の場合は必須と考えましょう。
毎年贈与契約書を作成するのが面倒だ
毎年100万円を贈与するので一回の契約書で済ませたいとお考えの方もいらっしゃると思いますが、定期贈与は注意が必要です。例えば、100万円を5年間〇〇へ贈与する旨の贈与契約を締結した場合、契約した年に500万円を贈与したと認定される可能性が高いです。
必ず、贈与の年ごとに贈与の意志表示と受諾をした上で契約書を作成しましょう。
自分で口座を管理したい
将来に備えて子や孫の名義で預貯金口座を開設しご自身で通帳を管理し数年にわたり入金を続けることは、名義預金とみなされる可能性が高いです。
この行為は贈与ではなく、子や孫の口座にご自身の資金を移しているだけの行為です。名義は子や孫でも中身はご自身の財産に変わりはありません。ご自身に相続が発生した場合には、相続財産として相続税の計算の対象とされます。
必ず双方が合意の上で贈与契約書を作成し、預貯金通帳は受贈者が保管しいつでも自由に利用できる状態にすることが重要です。
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